中編に引き続き、「ペットフード公正取引協議会」の表記の中から「成分」に関して解説していきます。
この「成分」ですが、人間の食品にも必ず表記されており、例えとして『1袋あたり「たんぱく質10g、脂質5g」』というような表記がされていると思います。
ペットフードに関しては『「粗たんぱく質22%以上、粗脂肪9%以上、粗繊維4%以下、粗灰分5%以下、水分10%以下」』と表記されているのを目にした事がありませんか?
5つの成分の表示義務
ペットフードは、この5つの成分の表示が義務づけられており、メーカーによっては必要に応じて、その他の成分の表示(カルシウムなどのミネラル類や、オメガ酸などの脂肪酸など)が記載されている事もあります。
人間の食品は、その中に含有している栄養成分の標準的数値を示しており、含有量を保証しているものではありません。そのため、「この表示は目安です」や「推定値です」などの表示がされている事が多く見受けられます。
ペットフード、特に「総合栄養食」では、定義として「毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたもの」とありますので、標準的数値ではなく、保証値である必要があるのです。
そのため、「以上」、「以下」で示しているのは栄養成分を保証しているとの意味になります。
栄養上必要であるたんぱく質や脂肪は、最低栄養含有量を保証し「以上」の表示がされ、一方で、水分、繊維及び灰分は保証値より多いとカロリーが低下したり一定の栄養を摂取出来ない恐れがあることから、最大含有量を保証し「以下」の表示がなされます。
「粗」ってなに?
ここで、水分を除く、4つの成分に「粗」が付いている事に疑問に持たれた方もいらっしゃると思います。
わたくしもよく聞かれるのですが、これは、粗末などの意味や、大まかな数値を指すのではなく、分析上の精度を現したものとなります。
前出の通り、人間の食品の標準的数値とは異なり、ペットフードでは保証値になります。
純粋な成分(たんぱく質・脂肪・繊維・灰分)を測定しているのではなく、同時に、他の成分の測定をおこないますので、下記に例をまとめます。
たんぱく質
アミノ酸やアミン類など
脂肪
脂肪に溶解しているビタミンや他の成分など
繊維
酸やアルカリに溶けないケラチンなど
灰分
ペットフードを燃やして灰にし、その量を測定します。そこには純粋なミネラルの他にその酸化物が含まれるため
このように、同時に測定される成分が含まれるため、「粗」を用いて示しています。
これらの表示は、日本だけのものではなく、世界的に共通の表現方法となっており、英語では「crude」(天然のまま、そのままの意)で示されています。
「以上」、「以下」の表示も「max.」、「min.」の表示で示されています。
5回にわたって表記に関する、法律・ルールを解説してきました。
今回の成分に関しては、わかりにくい部分もあると思いますが、これらの基本の部分をおさえておく事で、フード選びの目安になるのではないかと思います。
Writing by shin.k