今回は、ドッグフードの「脂肪(脂質)」の統計を解説していきます。
AAFCOの定める基準では、
1997年
成長・繁殖期 妊娠・授乳期 8.0%
成犬・維持期 5.0%
2016年
成長・繁殖期 妊娠・授乳期 8.5%
成犬・維持期 5.5%
※パーセンテージは最低値になり、最大値は設定されていません。
2016年の改定で成長・繁殖期 妊娠・授乳期、成犬・維持期共に0.5%増化しています。
0.5%という数字だけを見ると極めて小さい数字ですが、成長・繁殖期 妊娠・授乳期の8.0%から8.5%への増加は約6%、成犬・維持期では10%増加しています。
海外の記事で気になるものがあったのですが、肥満対策を煽るあまり各メーカーが低脂肪のフードを推し進めた事で、毛や皮膚のトラブルを抱えた犬が増えたというものでした。
この基準値の改定がぞれらを含んだものなのかは不明ですが、国内においても低脂肪を意識した風潮がないとも言い切れませんので、この点でも今回の統計は注視していただきたいと思います。
当サイトのドッグフードカタログには2018年10月現在で約700種類のドライドッグフード総合栄養食を掲載しており、下記のグラフにまとめました。
この中から「平均値」、「最頻値」、「最大値」、「最小値」は以下になります。
平均値 13.1%
最頻値 12.0%
最大値 39.7%
最小値 4.0%
最大値はフリーズドライフードの39.7%で、上位12番目までがフリーズドライ、もしくはエアドライフードとなり、タンパク質以上にフリーズドライフード・エアドライフードの高数値は顕著でした。
実際、トリマーさんとの話しの中で、これらのフードに変えた際に毛艶が良くなったとの事を耳にするのは高脂肪に由来すると考えられます。
しかし、これとは逆にベタつきや皮膚の赤みなどの話しもあるので、給餌の際には意識していただきたい点でもあります。
「ペットフードの統計『タンパク質』ドッグフード編」でも記載しましたが、掲載しているフードの中にフリーズドライフード・エアドライフードは14種類あります。
これらを除いた場合の平均値は12.7%となり、0.4%のダウンで、ドライドッグフードの最大値では23.0%になります。
1997年度のAAFCOで定められている「成犬・維持期の5.0%」を下回っているフードは10種類ありました。
そのうちセミモイストのフードが7種類ありますので、水分値との兼ね合いもありますが数値だけを見るとセミモイストフードは低タンパク・低脂肪になる傾向のようです。
最も多かった数値(最頻値)は12.0%で84種類のフードがありました。
10.0%から17.0%に集中しており、全体の約68%にあたる約470種類のフードがこの数値になりました。
タンパク質と異なる点として、多くのフードがAAFCO基準に比べて大きく上回っている傾向があります。
冒頭に注視していただきたいと書きましたが、現在国内に流通しているフードの多くは低脂肪と謳っていても、それは全体の標準に比べて、もしくは、いわゆる当社比などという意味合いが強いと予想できます。
AAFCO基準の改定により0.5%上がっていますが、5.0%から5.5%のフードも9種類になっていますので、「脂肪(脂質)」に関しては敏感になる必要はないと思われます。
総評
以上の事から、国内に流通するドッグフードの「脂肪(脂質)」の相場としては12.0%から13.0%と考えられます。
「脂肪(脂質)」を基準に選ぶ際は、この数値をベースに検討されるのも1つの方法かと思います。
Writing by shin.k