中編で挙げた、AAFCOで定められている11種の「ビタミン」ならびに「ビタミン様化合物」ですが、犬猫それぞれが体内で生成できるものと生成できないものがあります。
犬はビタミンAを体内生成する事ができ、ビタミンB3(ナイアシン)も生成できますが、必要量に足りていないケースが多いと言われています。
ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB群のほとんどを体内生成できないか、もしくは生成量が極めて少ないため外部からの摂取が必要になります。
これに対し、猫は11種全てを生成できないか、もしくは極めて少ないと言われており、犬猫で違いがあります。
稀に、「ドッグフードを猫にたべさせて大丈夫?」や「猫にドッグフードを食べさせて大丈夫?」という話しがありますが、各メーカーが犬猫にそれぞれ必要な栄養素を計算して製造していますので、よほどの事情がない限りは専用のフードを食べさせる必要があります。
各ビタミンの働きと過不足
ビタミンA
働き 視力、粘膜、皮膚の調整、成長促進など
過剰 骨・関節の異常、繁殖機能の低下など
不足 皮膚疾患、眼疾患、筋肉弱化、毛艶の悪化など
ビタミンD
働き カルシウムやリンの代謝や吸収の調整、歯・骨の形成・補助など
過剰 高カルシウム血症、骨・関節・軟組織の石灰化、嘔吐、惰眠など
不足 歯・骨の形成異常、カルシウム欠乏症、体重減少、骨軟化症など
ビタミンE
働き 抗酸化作用、免疫機能の強化、繁殖機能の強化など
過剰 食欲不振など
不足 免疫系の異常、筋力低下、繁殖機能の低化、網膜変性、皮膚疾患など
ビタミンB1(チアミン)
働き 神経伝達物質であるアセチルコリンの合成、細胞の活動補助、エネルギー生成、糖質の消化補助など
過剰 特になし
不足 食欲不振、疲労感、筋力低下、歩行障害、視力障害、脚気、神経麻痺など
ビタミンB2(リボフラビン)
働き 脂肪からのエネルギー生成、酵素の機能補助、皮膚の健康維持、代謝補助、皮膚・眼・口腔内の粘膜保護など
過剰 特になし
不足 成長の低下、運動失調、皮膚炎、結膜炎など
ビタミンB3(ナイアシン)
働き タンパク質・脂質・炭水化物など細胞のエネルギー生成・代謝補助、神経系・消化系・循環系の働きの促進など
過剰 特になし
不足 下痢、皮膚炎、衰弱、食欲不振など
ビタミンB5(パントテン酸)
働き タンパク質・脂質・炭水化物など細胞のエネルギー生成・代謝補助、糖・脂質の代謝補助など
過剰 特になし
不足 成長低下、脂肪肝、皮膚疾患など
ビタミンB6(ピリドキシン)
働き アミノ酸の代謝に関与、酵素の補助、脂肪の代謝など
過剰 特になし
不足 貧血、皮膚疾患、神経系疾患、腎臓疾患など
ビタミンB12(コバラミン)
働き タンパク質の合成および赤血球形成、神経系の補助など
過剰 特になし
不足 貧血、低血糖、成長低下、神経系の疾患
葉酸
働き DNAの合成に関与、核酸の補助、アミノ酸の補助など
過剰 特になし
不足 妊娠中に母体が不足すると奇形のリスクが高まる、貧血、成長低下
コリン(ビタミン様化合物)
働き 肝機能の正常化、細胞膜の補助、神経伝達など
過剰 赤血球の減少、下痢など
不足 嘔吐、成長低下、腎疾患など
このように、それぞれのビタミンが重要な働きをしており、生命維持には欠かせない栄養素になっています。
犬猫にとって体内生成できる「ビタミン」はありますが、生成量には限界があるためAAFCOでは基準が設定されており、これらに則ってフードメーカーは製造しています。
人間では、この11種からコリンが除かれた10種に前出の「ビタミンC」、「ビタミンK」、「ビタミンB7(ビオチン)」を含めた13種の摂取が推奨されています。
Writing by shin.k